小学生で140cm・40kgは太りすぎ?学校の健康診断と同じ式で肥満度を計算する

「小学生で140cmで40kgだと太りすぎ?」と検索する人がいます。

先に答えを書きます。学校の健康診断と同じ式で計算すると、140cm・40kgの肥満度は、8〜11歳の男女で14.9〜19.3%です(本記事の計算)。学校保健統計で「肥満傾向児」とされるのは肥満度20%以上なので、どの年齢・性別でも線の手前にいます。ただ、8歳女子の19.3%と11歳女子の19.1%は、線のすぐ近くです。

大人のBMIの基準(25以上で肥満)は、子どもには当てはめません。子どものBMIは背が伸びるにつれて上がるため、日本肥満学会のガイドラインは子どもの判定にBMIの絶対値を使わないとしています。

見立ては、1回の値が線の手前か向こうかだけで判断するより、毎年の健康診断で肥満度がどう動いているかをあわせて見るほうが、学校の健康診断の仕組みが重く見ている情報に合っている、というものです。

140cm・40kgの肥満度は何%になるのか

肥満度は、同じ性別・年齢・身長の子の標準体重から、実際の体重がどれだけ離れているかを%で表した数字です。文部科学省は学校保健統計で、次の式を使っています(肥満・痩身傾向児の算出方法について)。

  • 身長別標準体重(kg)= a × 身長(cm)- b
  • 肥満度(%)=(実測体重 - 身長別標準体重)÷ 身長別標準体重 × 100

係数 a と b は性別と年齢ごとに決まっていて、同資料は出典を日本学校保健会「児童生徒の健康診断マニュアル(平成27年度改訂版)」としています。たとえば11歳女子は a=0.803、b=78.846 です。140cmの標準体重は 0.803×140-78.846=33.574kg。40kgとの差は6.426kgなので、肥満度は 6.426÷33.574×100=19.1%になります。同じ計算を、8〜11歳の男女で行いました。

140cm・40kgの肥満度(8〜11歳・本記事の計算) 最大は女子8歳の19.3%、最小は男子10歳の14.9% 男子8歳 17.4% 男子9歳 15.0% 男子10歳 14.9% 男子11歳 16.4% 女子8歳 19.3% 女子9歳 16.7% 女子10歳 17.3% 女子11歳 19.1%
図:140cm・40kgの肥満度(8〜11歳・本記事の計算)(出典:文部科学省「肥満・痩身傾向児の算出方法について」の式と係数による本記事の計算)
性別と年齢肥満度(%)140cmの標準体重(kg)
男子8歳17.434.08
男子9歳15.034.79
男子10歳14.934.82
男子11歳16.434.37
女子8歳19.333.53
女子9歳16.734.29
女子10歳17.334.11
女子11歳19.133.57

年齢は4月1日時点の満年齢で、学年の目安は8歳が小3、11歳が小6です。140cmが平均から大きく離れる6・7歳は外しました。

同じ身長・体重でも年齢で数ポイント動くのは、標準体重の式が年齢ごとに違うからです。140cmは、8歳の平均身長(男子128.3cm、女子127.5cm)より12cmほど高く、11歳の平均(男子146.1cm、女子147.4cm)より低い身長です(令和7年度学校保健統計)。同じ「140cm・40kg」でも、同じ年の子の中での位置は年齢で変わります。

20%以上はさらに、20〜30%未満が軽度肥満、30〜50%未満が中等度肥満、50%以上が高度肥満と分けられます(三重県「学校における肥満度判定方法」。出典は日本学校保健会のマニュアル)。

肥満傾向とされるのは、同じ年の子の何%か

文部科学省の「令和7年度学校保健統計」は、2025年4〜6月に、全国の国公私立の幼稚園から高校までの満5〜17歳の一部を抽出して測ったものです。身長・体重などの発育状態は、全体の5.2%にあたる647,623人が対象です(公表資料、2026年2月13日公表)。肥満度20%以上を肥満傾向児、-20%以下を痩身傾向児として数えています。

肥満傾向児の割合(8〜11歳・令和7年度) 最大は男子11歳の13.24%、最小は女子8歳の7.86% 男子8歳 8.68% 男子9歳 11.59% 男子10歳 13.12% 男子11歳 13.24% 女子8歳 7.86% 女子9歳 8.93% 女子10歳 9.51% 女子11歳 10.16%
図:肥満傾向児の割合(8〜11歳・令和7年度)(出典:文部科学省「令和7年度学校保健統計」)
性別と年齢肥満傾向児(%)痩身傾向児(%)
男子8歳8.681.12
男子9歳11.591.59
男子10歳13.122.88
男子11歳13.243.70
女子8歳7.861.14
女子9歳8.931.77
女子10歳9.512.78
女子11歳10.163.09

出典:文部科学省「令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)について」p.3。

文部科学省はこの結果を「肥満傾向児の割合は、男女とも11歳前後が高く、特に男子は9歳以降おおむね1割を超えている。」とまとめています。11歳では、男子の13.24%、女子の10.16%が20%の線を越えています。

ただし、140cm・40kgのように15〜19%の位置にいる子が何%いるかは、公表資料に載っていません。分かるのは線の向こう側の割合だけです。

心配の向きが逆で「気にさせて、やせすぎにならないか」であれば、痩身傾向児の数字があります。文部科学省は「痩身傾向児の割合は、男女とも10歳頃まで上昇傾向にあり、以降は3%前後となっている。」としています。11歳男子では3.70%です。

大人のBMIの基準は、なぜ子どもに使わないのか

140cm・40kgのBMIは、40÷1.4÷1.4=20.4です(本記事の計算)。大人なら、日本肥満学会が肥満とする25以上には届きません(厚生労働省 e-ヘルスネット)。ところが子どもの肥満度では、年齢によっては線のすぐ手前です。

日本肥満学会の「小児肥満症診療ガイドライン2017」は、6歳以上18歳未満では肥満度20%以上を肥満と判定し、「BMIの絶対値は年齢(身長)とともに増加する」ことを理由に、「BMIの絶対値は使用しない」としています(ガイドライン2017 表A【記事公開日時点で9年前の資料】)。

ネット上の早見表でよく見るローレル指数(体重÷身長の3乗×10の7乗)では145.8です(本記事の計算)。早見表の区分名は出典を確かめられなかったので書きません。学校保健統計の判定に使われているのは肥満度です。

BMIが子どもに合わない理由は、BMIの生まれ方を見ると分かりやすくなります。体重を身長の2乗で割る比は、19世紀ベルギーの統計学者ケトレー(Adolphe Quetelet)にさかのぼり、長く「ケトレー指数」と呼ばれていました(Eknoyan 2008の抄録【記事公開日時点で18年前の論文】)。ケトレーは1835年の著書 Sur l’homme et le développement de ses facultés(人間とその能力の発達について)で、身長などの測定値が正規分布(平均のまわりに左右対称に集まる分布)に従って集まる、その中心にいる人を「平均人」として描きました(MacTutor「Quetelet」)。

この比に「body mass index」という名をつけたのは、アンセル・キーズ(Ancel Keys)らの1972年の論文です。5か国12集団の「健康な」男性7,424人のデータで、相対体重を表すいくつかの指標を比べ、体重÷身長の2乗を勧めました(Keys et al. 1972の抄録【記事公開日時点で54年前の論文】)。

BMIは大人の男性の集団を比べる指標として選ばれたもので、背が伸びている途中の子どもを一人ずつ判定するために選ばれたものではありません。

なお、肥満度20%以上は「肥満」という体格の判定で、医学的な対応が要る「肥満症」の診断とは別です。同ガイドラインは、子どもでは代謝の異常があっても多くは症状が出ず、むしろ学習を含む日常生活の障害や、いじめ、不登校などの生活の質の低下が問題になるとしています。

肥満度は何と比べた数字なのか

肥満度のもとになる標準体重は、「文部科学省の学校保健統計調査報告書(2000年)のデータに基づく」とガイドラインは書いています(表A)。肥満度は、2000年の調査の同じ性別・年齢の子の身長と体重をもとにした式と比べたずれです。

比べる相手は、一度変わっています。学校保健統計は平成17年度まで、性別・年齢別・身長別の平均体重の120%以上を肥満傾向児としていました。平成18年度(2006年度)から今の肥満度の方式になり、それ以前の数字とは単純に比べられません(令和7年度学校保健統計 p.6 の注)。

ここで「太りすぎか」という問いは、「何と比べて、どれだけ離れているか」と言い直せます。BMIは大人の男性の集団で選ばれた比、ローレル指数は身長の3乗で割る比、肥満度は2000年の調査の同じ年の子との比較です。同じ140cm・40kgで答えが違って見えるのは、比べる相手が違うからです。ケトレーの「平均人」と同じように、肥満度も、ある年の集団の中心からのずれを測る物差しです。

式が測っていないものもあります。肥満度は身長と体重だけから出すので、体重のうち脂肪と筋肉がそれぞれどれだけかは測っていません。成績や通知表が何と比べた数字なのかという問いは、評価と成績の記事でも扱いました。

1回の測定より、学校が見ようとしているもの

2016年4月から、学校の健康診断で「成長曲線の活用による発育の評価」が正式に推奨されました(井ノ口・徳村 2016、慶應保健研究 34(1)【記事公開日時点で10年前の論文】)。毎年の身長と体重を、年齢ごとの標準の線に重ねて見る方法です。

同論文が挙げる成長異常の分類には、過去の最小値に比べて最新値が20%以上大きい「肥満度増加過多」と、過去の最大値に比べて最新値が20%以上小さい「肥満度減少過多」があります。一時点の値でなく、変化で拾う区分です。論文は、学校・地域・国という集団の評価は行われてきた一方で、一人ひとりの発育を年を追って見る評価は必ずしも十分でなかったとし、その反省が推奨につながったと考えています。

見立ては、線の手前か向こうかだけで判断するより、毎年の肥満度の動きをあわせて見るほうが、学校の健康診断の仕組みが重く見ている情報に合っている、というものです。根拠は、制度に変化で拾う区分があること、推奨の理由が一人ひとりを年を追って見ることだったこと、140cm・40kgの肥満度が年齢で14.9〜19.3%と動くことの三つです。見立ては「何を見るか」についてのもので、体重をどうするかを決めるものではありません。

「20%の手前なら気にしなくてよい」という考え方の強さと弱さ

いちばん強い反対の考え方は、「1回の判定で足りる。20%の線があるのだから、手前なら気にしなくてよい」というものです。

裏づけはあります。公的統計も学会の判定も、この20%の線で運用されています。式は単純で、誰が計算しても同じ値になります。札幌市の学校が保護者向けに配る資料では、医師会などと協議して決めた基準として、肥満の側は「肥満度50%以上」か、「肥満度の最新値が+20%以上で、かつ、過去の肥満度の最小値に比べて最新値が20%以上大きい」かのどちらかに当たる場合を挙げています(札幌市の学校の配布資料)。変化を見る基準でも、20%の線と組み合わせて使う例があるわけです。

弱いところもあります。11歳女子の19.1%と20%の線の間は、体重にして1kgに満たない差です。線そのものも、2000年の調査の子どもの体重をもとにした取り決めです。そして、減少過多のような変化は一時点の値からは見えません。

結論が変わる条件もあります。記録が1回分しかないとき、または肥満度が線から大きく離れているとき(たとえば30%以上の中等度肥満の区分)は、一時点の値だけで区分が決まります。

まだ分かっていないこと

15〜19%の位置にいる子が同じ年の子の何%かは、公表資料からは分かりません。肥満度15〜19%の子がその後どうなるか(大人になってからの体格や健康との関係)は、本記事では確かめていません。体格といじめの関係を全国で数えたデータも、本記事は見つけられませんでした。

令和8年度の学校保健統計は、令和6年度・7年度と同じ流れなら、2027年2月ごろに公表されます(文部科学省 公表予定。調査の概要は小1の生活の変化の記事でも触れました。全国の分布で位置を確かめる問いは中学受験の勉強時間の記事も同じ形です)。

まとめ

140cm・40kgの肥満度は、8〜11歳の男女で14.9〜19.3%(本記事の計算)で、肥満傾向とされる20%の手前です。11歳では男子の13.24%、女子の10.16%が線を越えています。BMIは大人の男性の集団で選ばれた指標で、学会は子どもの判定にその絶対値を使わないとしています。

見立ては、1回の値より毎年の肥満度の動きをあわせて見るほうが、成長曲線を推奨した学校の健康診断の仕組みに合っている、というものです。「20%の手前なら気にしなくてよい」という考え方には、公的な判定が一つの線で運用されているという強い裏づけがあります。記録が1回分しかないときや、線から大きく離れているときは、その考え方のほうが筋が通ります。

参考文献

  1. 文部科学省「令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)について」2026年2月13日 https://www.mext.go.jp/content/20260213-mxt_chousa01-000046876_1.pdf
  2. 文部科学省「(参考)肥満・痩身傾向児の算出方法について」 https://www.mext.go.jp/content/20260213-mxt_chousa01-000046876_3.pdf
  3. 文部科学省 学校保健統計調査 令和7年度 結果の概要 https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/k_detail/2025.htm
  4. 日本肥満学会「小児肥満症診療ガイドライン2017」表A https://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/pediatricobesityguidelines2017_chart_A.pdf
  5. 三重県「学校における肥満度判定方法」 https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000908384.pdf
  6. 井ノ口美香子・徳村光昭「学校の健康診断における『成長曲線の活用による発育の評価』:推奨化の意義と問題点」慶應保健研究 34(1):87-92, 2016 https://www.hcc.keio.ac.jp/ja/research/assets/files/research/bulletin/boh2016/34-87-92.pdf
  7. 札幌市の学校の保護者向け資料(成長曲線の基準・札幌市立学校サイト掲載) https://www16.sapporo-c.ed.jp/kitano-j/attach/get2/1082/0
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット(肥満の判定) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-002
  9. MacTutor History of Mathematics「Lambert Adolphe Jacques Quetelet」 https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Biographies/Quetelet/
  10. Eknoyan, G. (2008). “Adolphe Quetelet (1796-1874)—the average man and indices of obesity.” Nephrology Dialysis Transplantation, 23(1), 47-51. https://doi.org/10.1093/ndt/gfm517
  11. Keys, A., Fidanza, F., Karvonen, M. J., Kimura, N., & Taylor, H. L. (1972). “Indices of relative weight and obesity.” Journal of Chronic Diseases, 25(6), 329-343. https://doi.org/10.1016/0021-9681(72)90027-6
  12. 文部科学省 学校保健統計調査 公表予定 https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/sonota/1402674_00001.html

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